よほど疲れていたのか、ぐっすりと眠り込んだネギセンセーの寝顔を覗き込む。
ネギセンセーがまさか、私たちの部屋で寝泊りするなんて・・・。
寝て起きたら、夢だったりするんじゃないでしょうかー?
だって、10歳のイギリス人の少年が、先生で、ルームメイトなんて、
そんなのありえないですーっ。
それでも、寝て起きた後も、ネギ先生の可愛らしい寝顔が見れたら、とってもうれしいです。
早く、明日になってくれないかな?
そうしたら、これは夢じゃないって確認できるから・・・。
それじゃあ、おやすみなさい。
by 宮崎 のどか
第2話 ネギ先生の授業研究?
柔らかな日差しを閉じたまぶたの向こう側に感じる。
すでに朝になったみたいだけど、どうも起きる気がしない・・・。
ふわりと何かに包まれているような、暖かい温もりが強く感じられて、お姉ちゃんを思い出す。
日本に来てからは味わうことの出来なかった安らぎを少しでも長く享受しようと、
身体は未だ目覚めるという行為を嫌っているようだ。
「ハルナッ、いつまで寝てるですか。
まだ余裕があるとはいえ、あまり長く寝てるものでは・・・って。
なんですか?この状況は・・・。」
「ゆえー?ハルナ起きたー?」
「いえ、その、起きてこないのですが、なんとも、この、
こういった場合はどうやって起こすべきなのかという、問題がありまして・・・」
「??ゆえー。よくわからないよー」
「当然でしょう。私もわかりませんから・・・。」
「??取り合えず、朝ごはん出来るから起こしちゃってー」
夢うつつながら、2人の少女の会話が聞こえてくる。
「う、うん。うるさいわねぇ。」
すぐ耳元から、別の少女の声が聞こえる。
「って、お、もうこんな時間かー。ネギ君―、起きないとダメだぞー?」
温もりが少し離れるとともに、ゆっくりと肩を揺すられる。
「おね・・・ハルナさん?むにゃ、おはようございます・・・」
「ネギ君はすこーし、朝弱いかなー。それともまだ時差ボケとかしてるのかなぁ?」
「ハルナは朝に強すぎです。
・・・というか、どうしてハルナがネギ先生と一緒に寝てるですか?」
「そりゃ、この部屋にはベッド3つしかないんだから、誰かがいっしょに寝ることになるでしょ?」
そう言ってハルナさんは、ぐりぐりーっと手のひらで僕の頭をなでまわす。
「わ、わ、ハルナさん、もう起きてますから〜」
そんなことを言いながらも、日本に来てからこんなにゆっくりと眠れた日はなかった、と思う。
やっぱり、お姉ちゃんにしてもらってたみたいに、
誰かに一緒に寝てもらうのって、すごい安心できるんだなぁ。
「それにネギ先生、抱き枕にすごいちょうどいいんだって!
いやー、あの感覚は癖になりそうだよ。」
「そんな癖、持たないで下さい。
全く、ネギ先生が昨日の夜、お休みされたソファーにいないと思ったら、
こんなことになっているとは。
だいたい、ハルナは・・・」
「そりゃ、運びもするって。まだまだ寒いんだから、風邪引いちゃうでしょーが。
ネギ先生軽いから、二段ベッドの上まで簡単に運べたしねー。」
僕が、昨日の安らぎに思いを馳せていた間に、夕映さんとハルナさんが言い合いを始めてしまった。
あわわ、僕のせいなんだし、何か言わないと・・・。
「ゆえー、ハルナー。ご飯できたってばー。冷めちゃうから、早く・・・って?
ネ、ネネネ、ネギせんせー?ど、どうしてハルナのベッドに??
そういえば、朝はソファーにいなくて、おかしいな、って思ったけど、
ゆえが朝の散歩かも、って言うから、私もそうかなーって。
だけど、せんせーはハルナのベッドに居て、え、ええと、だから・・・」
のどかさんの乱入と混乱コンボで夕映さんとハルナさんも気が抜けたのだろう。
それまでの言い合いを撤回して、一斉にのどかさんのフォローに回り始めた。
僕からもフォローしないとね!
「おはようございます!夕映さん、ハルナさん、のどかさん!
昨日はほんとーにありがとうございました!
あと、ハルナさん、一緒に寝てもらってありがとうございました!
故郷のお姉ちゃんと一緒だったみたいに、とてもよく眠れました!」
こうして、僕の麻帆良学園生活が本格的に始まったのだった。
がらがらっ、と教室のドアを開けると、どうも騒がしい。
昨日も騒がしかったけど、それともどうも異なるような・・・?
「おはようございます!」
とりあえず挨拶をして、教室に入る。
「風香さん。何かあったんですか?」
手近にいた風香さんに尋ねてみたところ、
「あーっ!ネギぼーずっ、来たなー!」
と、にやにやしながら、風香さんが待ってましたとばかりに喋りかけてくる。
その声を聞いた周りのクラスメイトもこちらに視線がいっているのが分かる。
ううっ、どうしてこんなに注目されてるんだろ。
「ねー、ボクたちと同じ女子寮に住んでるってホント?」
へ?そのせいで注目されてるのかな??
随分知られるのが早いけど・・・まぁ、隠すことでも無いかな?
「は、はい。住むところが見つかるまで、ですけど。お世話になろうかと。」
「えーっ!どこどこ?何号室に住んでるのー?
もしかして、女の子のところに転がり込んだとかーっ?
ネギぼーずっ、えっちー!!」
「ネギ先生えっちですー」
いつの間にか、史伽さんまで来て、はやし立ててくる。
あわわ、そっか、そう言われることは予想もしてなかったや。
「なにアホ言ってるですか。
ネギ先生、もうチャイムなってますので、ホームルームをお願いするです。」
ちょうどよいタイミングで、夕映さんがフォローに入ってくれる。
「そうですね!風香さん、史伽さん、その話はあとでお願いしますねー。
みなさーん、席に着いて下さいー!」
どうやら、今日も簡単にはいきそうもないみたい・・・
だけど、今日こそは皆さんにしっかりと勉強してもらえるよう、
がんばらないとねっ!
「・・・ふぅ。」
今日の授業は全て終了して、職員室に戻ってきた。
昨日とは比べると、きちんと出来たとは思う。
だけど、昨日はほとんど授業になっていなかったのだから、
このぐらいは進んで当然だろうけど。
うん、これで満足してちゃダメだよね!
僕が独りよがりで授業をしてしまった可能性だってある。
なにしろ、僕は教師2日目なのだから、足りないところはいくらでもあるだろう。
うーん、初めはクラスの学力をきちんと把握しないといけないかな。
タカミチから預かった成績表を確認すると、このクラスの特徴がよく見えてくる。
むむ、学年トップクラスが3人いるけど・・・全体的には、低い方かな?
あと、5人ほど、ちょっと成績が芳しくない人がいるのか・・・。
あれ?
もう一度よく見てみよう。
えーと、クラス上位にのどかさん、クラス中位にハルナさん、そして、クラス下位に夕映さん・・・。
むむむ。
夕映さん、あれだけ鋭いのにこんな順位なのか・・・。
これは、魔法がばれないよう、よっぽど気をつけた方がいいのかも。
横道にずれちゃった。
この3人に話しを聞けば、最低限僕の授業に必要なことが見えてくるかも知れない。
よしっ!今日の夜でも早速聞いてみよう!
夕方になると、僕は早めに職員室を後にして、家に戻ってきた。
「ただいま帰りましたーっ!」
「あ、ネギせんせーっ、お帰りなさいですーっ」
のどかさんがこっちに顔を出して挨拶を返してくれる。
「あれ?夕映さんとハルナさんは?」
「夕映は新しい飲み物が出たとかで、買いにいってます。
ハルナは、それに付き合ってます。」
「もしかして、僕がいるから、のどかさんわざわざ早く帰ってきてくれたんですか?」
「いっ、いえっ!決して、そう言うわけでは、あの、あるんですけど、全く気にしなくていいというか、
私が勝手にやりたいからやってるだけですので、ほんとに、気にしなくて・・・」
「嬉しいですっ!有り難う御座いますっ!」
「そうですかー?それなら良かったですーっ」
にっこりと微笑むのどかさんはやっぱりとっても可愛いや。
荷物を置いてリビングに戻ってくると、のどかさんが紅茶を用意してくれていた。
「あのー、のどかさん?ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・・」
紅茶を入れてくれたことにお礼をいいながら、聞きたかったことを尋ねてみることにする。
「はい?何でしょう?」
「えっと、ホントはこんなこと生徒に聞くべきことじゃないのは分かってるんですけど、
成績のことで尋ねたいことが」
さすがに突然そんなことを尋ねられるとは思っていなかったか、キョトンとした顔を浮かべた後、
「え、あ、あの、私なにか問題が・・・」
ちょっと青ざめながら、あたふた・・・って勘違いさせちゃったみたい?
「いえ、違うんです。
クラスの学力を調べてたら、夕映さんの成績があの、あんまり芳しくなかったので・・・、
夕映さん、とっても頭良いと感じたんですが、どうしてなのかなって。」
「あ、そういうことですか。
ゆえ、ホントは頭いいんですけど・・・あんまり学校の授業が好きじゃないみたいで、
だから、テストの点数はいっつもギリギリで・・・。
あ、あの、でもゆえも悪気があって勉強してないわけじゃないと思います。」
「そうなんですか・・・」
やっぱり、夕映さんが鋭いってのは正しいみたいだけど・・・、
勉強がキライって、それはそれで担任として問題があるや。
「それでですね、実は・・・」
のどかさんに今日の授業の感想を聞いてみようとした時、
突然廊下が騒がしくなって、ガチャッ!!とドアが開く音が響いた。
「突撃!隣りの晩御飯―!!」
「ち、違うです、おねー、って、あわわ、ネギ先生発見したですー!」
「お待ちなさいっ!!お2人とも、そのような非常識な真似をしては・・・、
あら?ネギ先生!?もしかして、今朝の噂は本当のことでしたのねっ!!」
えええっ!?突然、風香さん、史伽さん、いいんちょさんが部屋の中にっ!!
僕が混乱していると、さらに
「こらーっ!!ばかいいんちょ!!あんたまで一緒に騒いでどーすんのよっ!!」
「まぁまぁ、アスナ、いいやん、楽しいし?」
「あらあら、これ以上オイタが過ぎると挿しますよ?」
「そこの双子―、ちづ姉が本気になる前に止めたほうがいいよー?」
「ほにゃらば、私はこの部屋に居るに賭けよーっ!?」
「よっしっ、私はまき絵達の部屋にする!」
「こんな事でも賭けにするのっ!?」
どやどやと、神楽坂さん、近衛さん、那波さん、村上さん、桜子さん、柿崎さん、釘宮さんが
続けて部屋に入ってくる。
中学生の寮としては異様に広いとはいえ、元々3人部屋でしかない。
一気に所定人数の4倍にまで膨れ上がった空間は、
もはや混乱の極みに陥っていた。
「あー、ネギぼーず!やっぱり居たじゃーん!」
「ネギ先生、どうして女子寮に居るですか?」
風香さんと史伽さんが・・・
「ああっ、ネギ先生っ!放課後まで私に会いに来てくださったのですね!?」
「そんなわけないでしょー!って、そこのガキっ!きちんと説明しなさいよねっ!!」
「なーなー、のどかー、ハルナいーひん?」
いいんちょさん達が・・・、
「まぁ、ネギ先生、本当にいらっしゃったのね?」
「わー、双子のローラー作戦が成功するとは・・・」
那波さん達が・・・、
「やったーっ、ほにゃらば、食券、食券♪」
「うそーっ、また負けた・・・」
「美砂、桜子と賭けしても負けるだけだってわかってたでしょー?」
桜子さん達が・・・、
「あ、あわわ・・・、このかさん?ハルナは今ちょっと外出してて・・・、
ああっ、皆さんにお茶お出ししないとーっ。」
のどかさんも・・・、
「え、えーっと、皆さん、落ち着いてくださーいっ!」
皆が皆、一斉に喋り始めて、どうしたらいいのか分からない状況になってきてしまった。
ええっと、こういう時は、全員の注目を一瞬でも集められれば、何とか・・・
しかし、僕がなんとかする前に、事態はさっさと進行していってしまう。
いつの間にか、夕映さんとハルナさんが帰ってきていたのだ。
「一体何の騒ぎですか・・・」
「おーっ、さすがにここまで来るとすごいねぇ・・・」
さすがにあんまり動じるというイメージのない2人でもこの状況は想定外のことだったのだろう。
混乱を治めることも忘れて、呆気に取られている。
「あーーっ!!ハルナー!!」
「ん?このか?どしたん?」
「おじーちゃん、おーけーやてー。ネギ君、この部屋つこおてええでー」
「おおっ、このか、ナイスッ!!
ネギ君、ここで暮らしていいってさ〜」
「「「「「「えええっっっっっ!!!!」」」」」」
さっきまでとは打って変わって、全く同じタイミングで驚く生徒たち。
あ、夕映さんが頭抱えてるや・・・。
「ハ、ハルナ、いきなりさらっと言いすぎです・・・。」
「・・・あー、そっか、まだ秘密だったっけ。
いやー、うっかりしてたわ、ごめんねー、ネギ君。」
「は、はぁ・・・」
まぁ、どうせ何時かバレることだし、早い方がいいよ・・・ね?
「この分だと、朝の噂もハルナの仕業ですね?」
「そんなことはないよー、失礼なー。
ただ、ちょっと教室でこのかにさっきのことお願いしたぐらいでさ?」
「・・・決定的ですね」
・・・昨日のハルナさんが突然夕映さんの後ろに居たときの慌てぶりの理由がわかった・・・かも。
ハルナさんには絶対に魔法に感づかれないようにしないとっ!!?
「よーしっ、ネギ君引越し祝いに、ほにゃらば、さわごーっ!!」
「ちょ、ちょっと、桜子ちゃん。それでいいの!?」
神楽坂さんがちょっと胡乱気な視線をこっちに向けてくる。
もしかして、僕嫌われてる?
「確かにアスナの言うとおりネギ先生は10歳なのに先生で、
さらに女子寮に住むなんてやっぱり普通じゃないと思うよー。」
ええっ、風香さんもっ!?
「そうよね!風ちゃんもそう思うよね!」
「それで考えたんだけど・・・」
「今日これからここにいる全員で、『ネギ先生引っ越しおめでとうパーティー』やろー!」
思わず、肩がずり落ちそうになる。色んな意味ですごいなぁ、僕の生徒は・・・。
「って、なによその繋げ方―!!」
「それでは、不詳、雪広 あやかが乾杯の挨拶をさせっ!?」
「ネギ先生、ボクたちの部屋にも今度泊りに着てよー。」
「あぶぶ、おねーちゃーん。恥ずかしいよー。」
ええっ!?そんなこと言われても・・・。
この2人は僕と背格好が変わらないので、逆に恥ずかしく感じちゃう。
「ちょっとそこのお2人さん?人の挨拶も聞かずに何をそんな羨ま、
もとい、羨まし、いえ迷惑なことをおっしゃってますかっ!
ネギ先生が困ってらっしゃいますわ!
・・・ですが、寂しくなったらいつでも私たちの部屋へいらして下さい?
一緒に寝ましょうね?」
「何言ってんのよ!このショタ女ー!」
「なんですって!?おじコン女―!」
まだ赴任してから2日目だというのに、この2人のじゃれ合いはもう4,5回目だ。
さすがに慣れてきたかも?
「まぁまぁ、アスナ。いいやん、ネギ君抱き心地よさそうやし、うちも構わんえー。」
「あらあら、あやかったら。でも本当に、いつでも甘えに来てください?」
「あー!私も私もー。ネギくーん、どーんと来ちゃっていいからねー。」
「あ、あのー、ネギせんせー。私も・・・その、いいですからー。」
風香さんに史伽さんに加え、近衛さんに那波さん、桜子さんにのどかさんまでもが僕の周りにわいわいと集まってくる。
「あ、あの僕イギリス紳士なんで、あの、女性の方に気を遣わせるわけにはー!?」
しどろもどろになりつつ、なんとか紳士的な立場を崩さないように頑張ってみたけど・・・、
みんなのパワーに圧倒されてしどろもどろになってしまう。
「うーん、ネギ君大人気だねー。」
「ハルナ?これは昨日ネギ先生をベッドに引きずりこんだのがバレたら、大変ですね?」
「まーねー。ゆえー、口ちゃーっく!」
部屋の隅の方でハルナさんが口チャックと言いながら、
夕映さんのほっぺを指ではさんでびろーんと伸ばしているのが見える。
「はにふるでふか」
「ん?口ちゃっく。いやー、夕映はほっぺ柔らかいねー。」
2人とも止める気はないみたい。
あはは、これ収集つくのかな・・・。
結局、この日はそのまま夜遅くまで騒いでしまい、当然授業の進め方を聞くどころではなかった。
翌日、ホームルームを終えた僕は、授業がまったく入っていない日であったこともあり、
しずな先生に授業の進め方について尋ねに行くことにした。
ちょうど職員室で資料整理をしていたしずな先生は、快く僕の話に付き合ってくれた。
「−というわけなんです。」
「なるほど。でも、誰だって初めから上手には出来ないものですよ?
高畑先生だって昔は全然でしたからね。」
そう言って、くすくすと笑うしずな先生。
「タカミチがっ!?」
「ええ。毎日資料作りに四苦八苦してましたよ。
あの人、結構不器用ですから、大変そうでしたね。
その点、ネギ先生はその辺りはスマートで、さすがって感じですけど。」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます。
で、でも、今の僕として生徒たちに出来る限りにことは全部してあげたいんです。」
しずな先生はわずかに考え込んでから、パソコンのキーボードをかたかたと打って何かの調べ始めた。
それから、僕のほうへ向き直って、
「それでしたら、高畑先生の授業を見学なさるのいかがですか?
この後の時間に、中等部1−Dで英語の授業があるはずですから。」
そう言って微笑んでくれた。
1−D、1−Dは・・・っと。ここだ。
しずな先生にお礼を言って、席を辞した後、そのまま僕は1−Dへ訪れていた。
タカミチにはしずな先生から連絡がいっているはずだし、
見学させてもらおう。
コンコンと軽くノックしてから、授業中の教室へ入っていく。
教壇の前に居るタカミチに軽く会釈してから、あれ?と気づく。
何だろう?何か、違和感がある?
すぐに違和感の原因に気付く。
髪を二つにしばった女生徒からだ。
もしかして、彼女は僕と同じ・・・?
まぁ、それは後でタカミチに尋ねるとして、今はタカミチの授業を真剣に聞かないとね!
授業後、タカミチと昼食を食べながら、授業の感想と疑問点を尋ねてみて、分かったことが2つあった。
1つは、なるべく全員に合わせた授業をしつつも、その弊害として出てくる足りない点を補填する必要があるということ。
つまりは、授業の合間に高度な例題を出して、勉強が出来る娘たちの興味を引いたり、
逆にその他の生徒たちを飽きさせないために、たわいも無い日常会話や、教科書とは離れた出来事について解説したりすると良いらしい。
そして、特に成績に難がある生徒には補修なども良くやっていたと教えてくれた。
うーん、これは一朝一夕で完全にするのは難しいなぁ。
取り合えずは補修でもしてみようかな。
・・・それから、ある意味最も驚かされた2つ目のこと。
佐倉 愛衣。
麻帆良学園中等部1−D所属の、魔法生徒。
アメリカのジョンソン魔法学校に留学した経験もある、優秀な生徒らしい。
今後、どこかで関わることもあるかもしれないね、とタカミチは言っていた。
しかも、この学園には彼女だけではなく、かなりの数の魔法使いがいる、とも。
そして改めて、思った。
僕は、まだまだ未熟だった。
今日受けた感覚だと、佐倉さんよりも僕は弱い。
僕自身の魔法の修行もどうやっていくのか、考えないといけない・・・。
魔法のことは兎も角、授業については部屋に戻ってから3人に相談することにした。
途中、今日もやってきた風香さん、史伽さんを加えて、相談相手が5人に増えたりもしたけど・・・。
「うーん、取り合えずは期末の全員赤点回避が目標になりそうかなー。
うちのクラスの連中は結構、マイペースな奴らが多いからなぁ。
そいつらを焚き付けられれば、逆に期末トップにもなりそうだしねー?」
とハルナさん。
「でもバカリーダーのゆえ吉を筆頭にバカレンジャーがいるからなー。
焚き付けるだけじゃ、ダメだって。
なんか効率いい勉強方法見つけないと。一筋縄じゃいかないよー。」
と風香さん。
「ふーちゃん、きっと大丈夫だよ。
ゆ、ゆえー、ネギ先生のためだもん。勉強やってくれるよねー?」
とのどかさん。
「私はネギ先生の授業好きですー。
発音はすっごい上手いし、丁寧で分かりやすいですー。
そ、それに、ネギ先生だと雰囲気がとってもいいですから、集中しやすいですー。」
と史伽さん。
「まぁ、高畑先生のアドバイスであってるとは思うです。
補修はいりませんが・・・。
それと、うちのクラスはただでさえ暴走気味ですから、脱線は少なめにした方がいいかもしれませんね。」
と夕映さん。
皆が真面目に考えてくれて、とっても嬉しくなってくる。
そして、また気付いたことがあった。
僕1人で授業はやるものじゃないんだ!
生徒たち1人1人が一緒に考えながら、より面白い授業になるようにしてくれたら・・・、
うん、とってもいいかもしれない!
「あの、それで明日から1週間ぐらい僕の練習も兼ねた、任意参加の補修授業をしてみようかと思うんですけど。
どう思いますか?」
全員、一瞬黙り込んだ後、ぐっと親指を上げて、
「「「いいんじゃない?」」」
と言ってくれた。
補修には渋ってたはずの夕映さんもそう言ってくれたのが、素直に嬉しい。
よーしっ!明日からまた、頑張るぞー!!
(続く)