前回までのあらすじにょろん!
えーと、涼子ちゃんがキョン君の前にやって来たんだね!
それからナイフをとおっ、と投げて、ってそれはやりすぎにょろね。
やっぱり皆仲良くが一番さっ!
まぁ、色々あって涼子ちゃんはキョン君の家に住むことになったのさ!
ちっちゃくなった涼子ちゃんは、にょろーっと見てみたいさっ!
あ、今度キョン君家にみくると2人で行ってみようかね!
妹ちゃんとも久々に遊びたいさっ!
まぁ、めがっさ大雑把だけど、あらすじってこんな感じかなっ!」
あー、問題ありません。
さすが鶴屋さんですね、的確に状況を表してますよ。
特にナイフはダメって辺りが俺的にホームランです。
「そうかいっ!?
いやー、それはよかったさ。
それじゃ、キョン君、本編頑張っておくれよー。」
はい、ありがとうございましたー、・・・誰だ、鶴屋さんにあらすじ頼んだのは。
涼宮ハルヒの憂鬱SS 涼子ちゃんLITE! 後編
ぜぃ、冒頭から、ぜぃ失礼した。
自転車で全力疾走してる最中に、ぜぃ、あらすじ語るなんて芸当は、ぜぃ、出来んからな。
別撮り、ぜぃ、してお茶を濁そうとしたんだが。
「キョン兄?わざわざ走りながら言わなくても、私が説明してあげたのに・・・」
荷台に座り、背中にしがみ付いた涼子が憮然とした声でつぶやく。
・・・お前、ぜぃ、が説明始めると、ナイフで刺されそうなんでな。
ぜぃ、2回も刺されると、最早3回目も、ぜぃ、あるものと疑ってしまう、ぜぃ、小市民なんだよ、俺は。
「失礼ね、人を異常者みたいに言わないでくれる?
大体、2回目は私じゃないし。
それよりも、時間になっちゃったわね。
到着まであと5分はかかりそうだけど。」
5回奢れとか言い出しかねんな、我らが団長は。
仕方がない、もう少し急ぐからな。
しっかり捕まってろ!
所変わって駅前のいつもの待ち合わせ場所だ。
俺はまだ着いてないが、他のメンバーはとっくに集合していたらしい。
約1名ほど怒り心頭のご様子だぜ。
「遅い!!
何やってるのかしら?
団長を待たせてぐーぐーイビキかいてたら、ただじゃおかないわよ!?」
「す、涼宮さん、あの、まだ待ち合わせから3分しか過ぎてませんから、もう少し穏便に・・・」
「むっ!?何言ってんの、みくるちゃん!
たとえ1分でもSOS団に遅刻するなんて許されることじゃないわ!
弛んでる証拠よ!
全く、ちょっと甘い顔してあげたら、すぐ付け上がるんだから・・・。
そうね、団長を待たせたキョンは今日一日私の下働きってのはどうかしら?
うん、いいんじゃない!?」
「ええと、今日はキョン君と涼宮さんとで、一緒に廻るってことですか?」
「ち、違うわよ。
そういうことじゃなくって、でも、キョンがどーしても、っていうなら考えてあげないこともないけど・・・。」
「やれやれ、あの様子では久方ぶりの出動となってしまいそうですよ。
おや、どうしました?長門さん?」
「・・・来た。」
「そうですか、それは良かった。
このぐらいの遅刻ならまぁ、逆に日常を彩るスパイスと言ったところでしょうか。」
「もう一人居る。
該当者情報なし。」
「おや?ふむ、こちらでもそのような情報は得ていませんが・・・。
普通の人間なのですか?」
「異常な情報は見受けられない。
でも、何か嫌な予感がする。」
「嫌な予感、ですか。
長門さんの嫌な予感ほど、困ったものはないような気がしますが。」
ここからは、ぜぃぜぃ言うのはカットさせていただいた。
面倒だしな、書くほうも読むほうも。
よ、ようやく着いた。
全力で漕いできた自転車を公園の近くに路駐して、さらにここまで走ってきたので、さすがに疲れ果てた。
きゃいきゃいとかしましい唯我独尊な団長と美少女メイド(今日はメイドでない)の横では、微笑ハンサムとセーラー服無表情娘がぼそぼそと喋っている。
週末になると、このえらく不可思議な集団の発生が既に日課となってしまったのがこの公園だ。
ぜいぜいと息を切らしているよれよれの俺とは対照的に、すぐ後ろに付いてきている涼子は全く息を切らした様子も見せない。
まぁ、そもそも涼子は後ろに座ってただけだからな、当然か。
「あ、涼宮さん、キョン君来ましたよー。おはようございますー。」
「おはようございます。」
「・・・お早う。」
「みくるちゃん、古泉君、有希、あんな遅れん坊はおそよーでじゅーぶんよ、おそよー!!」
キョン!3分遅刻だから、30回は奢ってもらうわよ!?」
・・・どうやら、俺の考えより遅刻は10倍ほど罪が重いらしい。
くそ、ハルヒめ、満面の笑顔浮かべやがって。
反論したいが、息が切れててまともにしゃべれん。
まぁ、それであっさり終わってくれれば、(俺の財布以外は)全くの平穏だったんだがな。
俺の後ろに居た元委員長は、理不尽な要求がお気に召さなかったらしい。
ずい、と俺の前に珍しくもむっとした表情で出てきやがった。
まるでハルヒと取っ組み合いでも始めんかというテンションの高さだな。
「あら?誰よ、この娘。
キョンの妹の友達?
ふーん、えらく可愛いわねぇ。」
なんだか、ハルヒの機嫌が一気に急下降した気がする。
そして、誤解無いよう紹介したいのは山々だが、まだ喋れん。
くそ、体力づくりでも始めた方が良いな。
ちなみにその他の団員の反応はというと、
朝比奈さんは無邪気に「わー、可愛いー」とはしゃぎ、
長門はいつもの無表情に若干の不審気な色を載せ、
古泉は別にどうでもいい。
「初めまして、キョン兄がいつもお世話になってます。
先日よりキョン兄の家で下宿しています、朝倉涼子と言います。
よろしくお願いします。」
この名前に反応するかと思いきや、ハルヒは全く気にした様子がない。
・・・もう記憶の彼方なのかもしれんな。
直接の接点がない朝比奈さんや古泉は、ハルヒと同じで取分け反応はない。
長門だけが、もう無表情とは言えないぐらい不審気な顔つきになっている。
「涼宮さん、よね?
キョン兄は私のために昨日の夜から頑張ってくれたから、疲れてたの。
遅刻したのは確かに悪いことだけど、それでもこうして急いで来たわけだし。
許して貰えないかしら?」
いきなりタメ口かよ。
しかし、やけに思わせぶりな言い方だな。
お前は俺の母親か?
外見が小学生でなければ、確実に危ういぞ。
・・・いや、小学生だから危ないのか?
そして、外見小学生女子に説教されたハルヒはというと、
見事なアヒル口だな、おい。
「何それ?
ちょっと、キョン!
どういう事か、きっちり説明しなさい!」
殺意をばらまきながら、ハルヒがこちらをにらみつけてくる。
一体どんな変換が成されたのかは考えたくもないな。
「私が説明してあげてるじゃない。
キョン兄は疲れてるのよ。
見て分からないの?」
お前はもうちょっとオブラートに包む努力をしてくれ。
「・・・肉体に精神が引っ張られてるみたい。
感情が上手く制御できないみたい。」
俺の疑問が気づいたのか、ぼそっと涼子が呟く。
なるほど・・・まぁ、よくありがちな設定ってやつか。
「キョン、情けなくないの!?
こーんなお子様に庇ってもらっちゃって!
大体、自分のこと兄とか呼ばせてるなんて、妹が12人いるゲームじゃあるまいし、何考えてるのよ!」
むしろその突っ込みが出るお前が心配だぜ。
「そもそも、大切なSOS団の活動に部外者を連れてくるってとこ自体が間違ってるわ。
私たちがいないと休日一人で寂しいくせに!?」
おーい、前半と後半の文句が互いに打ち消しあってるぞ。
ま、言わせるだけ言わせとけばいい。
溜め込むとハルヒは爆発しちまうからな、比喩なしで。
俺の内情をよそに、涼子は嬉々としてハルヒに言い返しやがった。
「何それ?
はっきり言って、私はあなた達よりもキョン兄と結びつきは強いわよ?
何ていってもキョン兄が初めて(の人殺し)の相手だもの!」
2度目以降がありそうな発言が嫌過ぎだな。
・・・まてよ。
俺以外は括弧の中って分からないんじゃ?
世界が停止していた。
恐る恐るハルヒの方を伺うと、完全に固まってやがる。
朝比奈さんや長門まで固まってるように見えるな。
古泉が固まっていたら嫌過ぎるから、そっちは見ないぜ。
しばらくの間、皆すっかり忘れてるだろう、疲れきった俺のぜぃぜぃ言う音だけが響いていた。
そして唐突に動き出す。
結構長いこと停止していた気がするな。
まぁ、実際のところは俺の息が整う前に再起動を果たしたのだから、それほど長い時間ではあるまい。
そのきっかけは携帯の着信音・・・古泉か。
いつものニヤケ面が引っ込んでいるところを見ると、あのくそったれな空間が発生でもしたのか?
案の定、
「すいません、ちょっと用事が出来ましたので、少し席を外させてもらいます。」
とだけ言い残して、さっさと歩いていってしまった。
一度だけこっちを振り向いて、『解ってますよね?』とでも言いたげなアイコンタクトを送ってきやがったがな。
そして、古泉の後姿が視界から消えるのとほぼ同時に、
「ちょ、ちょっっっと!キョンっっっっ!!」
ためが長いぞ、お前はどこぞのお姉ちゃんか。
「え、あ、あ・・・そ、その、にゃ、にゃう〜〜ん!!」
朝比奈さん、どこかのぽんこつになってますよ。
「・・・」
長門の三点リーダーだけが、俺の味方か?
「さ、キョン兄?
おばちゃん達は放って置いて、一緒に図書館でも行かない?」
お、おばちゃんだとっ?
どうして火に油を注ぐようなことをっ!?
その瞬間、ぞくぞくっとした悪寒が背中を駆け抜ける。
ハルヒか?
と思って戦々恐々としていると、
「・・・そう。」
えらく静かな、それでいて例えようもない恐怖が鼓膜にぶち当たる。
な、長門が怒ってる・・・。
そのレベルがどれくらいかと言うと、
ハルヒが自分の怒りすら忘れて、ぎょっとした顔を長門に向けているぐらいだ。
朝比奈さんはマジ泣きしそうになってるしな。
続けて、ばきぃっ!と何かが壊れる音。
長門が持っていた鞄の金具が砕けて、破片が飛び散ったのは、気づかないふりをしたいがどうだろう。
いわゆる殺す気を真正面から浴びた涼子は、引きつった笑みを浮かべて後ずさってる。
まぁ、完全状態でさえ適わないのに、今の状態じゃどうしようもないからな。
というか長門?
どうして俺にまで凶悪なプレッシャーを掛けてるんだ?
こいつはいつまでも放置しておく訳にはいかんな。
ようやく息も整ってきていた所だし、俺が弁明するしかないか。
涼子は蛇に睨まれた蛙のごとく、フリーズしてるしな。
「ほ、ほら涼子?
いつまでも冗談言ってないで、謝っとけ?
長門、ハルヒ、朝比奈さん、こいつは俺の従妹でしばらくの間、家で預かることになったんだ。
その話が急だったもんでな、昨日の夜はこいつの部屋片付けに追われてたってわけだ。
それで寝坊したんだ、すまんな。
涼子も、お姉さんたちに改めて自己紹介しなさい。
ああ、そうだ、長門、ちょっと読みたい本があるんだ。
後で、あ、いや今度でいいから、図書館に付き合ってくれないか?」
俺も必死だ。
どこで長門を怒らせたのか分からんからな。
全否定するつもりで、言葉を投げかけ続ける。
文章の前後に繋がりが無くても、気にするな。
いっぱいいっぱいなんだ。
「・・・」
どれが正解だったのかは分からんが、長門は取り合えず怒りを静めてくれたらしい。
コクンと一つ肯いて、三点リーダー状態に戻ってくれた。
「ま、まぁいいわ。
本当のところも聞きたいし、いつもの喫茶店へ移動しましょ?
キョン、今日のところは遅刻は許してあげるわ。」
遺憾ながら、ハルヒが珍しい慈悲を見せるぐらいには、俺はピンチだったらしいな。
喫茶店で改めて、本当の嘘設定といういかにも胡散臭い理由を説明した後、今日のチーム分けだ。
ちなみに、ハルヒの計らいで俺と涼子は1組という扱いだ。
−結果。
俺と長門、それから涼子の3人の組が出来上がった。
先ほどのアレを思い出すだけでえらく不安だが、まぁ同じ過ちは二度と繰り返さないと願いたいね。
実際、涼子も幾分大人しく、コーヒー啜っているしな。
とまぁ、そんなこと考えてると、涼子に気づかれたらしい。
「なにか付いてる?」
と聞いてきやがった。
いや、ブラックで一口飲んだ後、しかめっ面して砂糖とミルクをだばだば足してたのを思い出しただけだ。
アレは癒されたぞ。
「仕方ないじゃない、味覚が思ったよりも変化してたし。
以前はブラックで平気だったんだけど、今は苦い水にしか思えないわ。
やりづらいったらありゃしないわ。」
俺にだけ聞こえる声で喋る涼子。
ま、そうやって子供であることに専念しててくれ。
これ以上の修羅場は御免被りたいからな。
「それはこっちもよ・・・」
どこかげんなりした感じの涼子だが、本心から言っているのだけは痛いほど伝わってくるな。
そんなこんなで、ようやくのまったりした時間が終わり、探索の時間となった。
平凡に別れることを良しとしない団長は、俺を指差して言いやがった。
「キョン!有希をあんだけ怒らせたんだから、しっかりサービスしてあげるのよっ!!
あんたより、有希の方がずーーっと繊細なんだから、気を使いすぎて過ぎるってことはないわ!
良いわね!合流したときに有希の機嫌が今より良くなってなかったら、死刑よっ!死刑っ!!」
死刑かよ。
まぁ、長門を労うのはむしろ望むところだが、見て分かるほど機嫌の良い長門ってのも想像できんな。
今はいたって普通の無表情にしか見えん。
涼子に対して持ってたはずの不信感もどこかに置き忘れちまったようだしな。
或いは脅威に思わなくなったのかもしれん。
あれだけ、長門に対してビビッてくれればそれも分からんでもない。
「キョン兄、あとでオシオキね。」
そしてお前は心を読むな、マイ従妹よ。
2時間後に再集合だから、と言い残して朝比奈さんを従者のごとく引き連れたハルヒを見送ったあと、
俺は長門に何処か行きたい場所があるか、尋ねてみることにした。
「・・・・・・特に無い。」
いつもより沈黙が長めだったような気もするが、無いらしいので、適当に公園を散歩するコースを取ることにした。
そのまま30分ほどぶらぶら歩いた。
長門は自分から話しかけてくることもなく、黙々と後ろを付いてくる。
何時ものことなのだが、妙に違和感がある。
長門の雰囲気が原因だろうな。
さっきから、こちらを伺っているものの、話しかけるのを躊躇しているような・・・、あの長門がか?
ありえんな。
ということは、さっきの事でまだ引きずってることがあるのか?
「ちょっといい?少し尋ねたいことがあるんだけど?」
こちらもあまり喋らなかった涼子が俺の裾を引っ張ってきた。
そのまま、長門からずるずると離される。
長門、スマンが少しだけ待っていてくれ?
一言長門に声をかけてから、涼子に向き直る。
で、一体何なんだ?
「しばらく考えていたんだけど、長門さんが怒る理由が判断できないのよ。
彼女の不可解な行動はしっかりと把握しておく必要があるの。
何が原因だったのかを確認するわ。」
それは望むところだが。
「でも、その原因は私の言葉しかありえないのよね・・・。
当該箇所を自動再生。
『さ、キョン兄?
おばちゃん達は放って置いて、一緒に図書館でも行かない?』
再生終了。
この中に原因となる言葉があるはずよ。」
おばちゃんか?女性ならば誰でも傷つく言ってはいけない言葉ベスト3に入りそうな言葉だしな。
「それはないわね。
私たちに劣化という概念はあっても老化っていう概念は有り得ないから。
持ちえたとしても、さすがにあそこまでの感情を引き出すには至らない。」
じゃあ図書館か?
「そうね、それも微妙だけど。
・・・あ、もしかして長門さんと何か図書館関係で約束とかしてた?」
む、何か引っかかってる気がするな。
図書館、図書館・・・長門の貸し出しカードを作ってやったあの図書館のことだよな。
その後は行った覚えはないな。
忘れてるだけかもしれないが、まぁ行っていないっていう設定にしておいてくれ。
「何よそれ?」
気にするな、単なる補足と言い訳だ。
しかし、その後全く行ってないなら、あの春に何かあったということに・・・
『YUKI.N> また図書館に』
あ、と気づく。
記憶の奥底の、さらに引き出しにでもしまっておきたい、あの出来事の中での長門の言葉。
「何よそれ?」
さっきと同じ言葉だが、イントネーションが大分違う。
確実に俺を非難しているな。
仕方ないだろう、アレの記憶は俺自身思い出したくない出来事、ベストワンなんだからな。
「仕方なくないわよ!全く、鈍い鈍いとは思っていたけど、軽く予想を上回ってくれたわね。
今度、個人的に誘ってあげなさい!
いえ!今すぐ!!
そもそも、もっとまじめに長門さんのこと考えてあげないとダメよ、でないと私が許さないわ。」
わ、分かった。
それにしても、ずいぶん長門を気にかけてるな。
「元バックアップとかいう以前に、なんとなく放って置けない気分なのよ。
つい、守ってあげたくなるような、ね。」
世話焼きなところはこいつの地なんだろうな、と思いつつも、
もしかしたらハルヒを待っていた3年の間は、互いの部屋に行き来して、ご飯を作りすぎたから、と持参してきたりする、
あの消失の時間の中で暮らしてたのかもしれん。
なんてな。
その後も、涼子と長門が積極的に話すってことはなかったがな。
ま、少なくとも俺の心労は大分解消された。
涼子に急かされる形になったのは少々かっこ悪いが、長門とのほぼ1年越しの約束を果たすこともできそうだしな。
ま、言うまでもないと思ったので飛ばしたが。
ちゃんと長門に明日にでも図書館に行くかって話しはしたぜ。
せっかくだから、もっと大きな図書館に行ってもいいかもしれん。
本棚から長門を引っ張るのに苦労しそうだが、そんな苦労ならいくらでも買ってやれるしな。
それにな、今度、涼子と長門と、3人で遊ぶのもいいかもしれん、何も考えずにな。
そして、集合時間が過ぎ、合流を果たした際には、
「まー合格ね。ったく、キョン、これにこりたらもう不用意な発言は慎むのよ!?」
すっかり忘れかけていた死刑の危機は回避されたようだ。
ちなみに不用意な発言は涼子なんだがな。
ま、その原因は俺だ。
非難は甘んじて受け止めるさ。
そのあと、少し遅めの昼食を食べながら、団長手製の2回目のくじが始まった。
・・・古泉はどこいった?まぁ、それはいいんだが。
今度は俺と涼子、それからハルヒというなんと組み合わせだ、・・・珍しいな。
というかハルヒと組むのって初めてじゃないか?
当の団長様は涼子の長い髪をいじくりまわしてご満悦で気づいた様子もないが。
ていうか、いつの間に仲良くなってやがる。
ハルヒは実は子供好きみたいだし、というか、子供と同レベルで遊べるって感じか?
涼子はノリも良いし、自分の考えも主張するくせに、聞き上手だからな。
気が合うのも当然かもしれん。
・・・が、午前中の俺の心労を返してくれ。
昼食後、ハルヒと涼子は俺を置いて2人で出て行ってしまう。
クラスメイトの姿のときだったら、えらく絵になる光景だったんだろうがな。
今では、絵にはなるが、微笑ましい姉妹にしか見えん。
「キョン、おっそい!時間は有限なのよ?そんなだらだらしてたら、あっという間に今日が終わっちゃうわ!」
「そうよ、キョン兄!ただでさえ面倒くさがりなんだから、きびきび動く!」
・・・ハルヒが2人いるみたいだな。
お前らは突っ走りすぎだぞ。
・
・・
・・・
そのまま最後まで突っ走るとは思わなかったぜ。
ハルヒはともかく、涼子までとはな。
今日は朝の寝ぼけた所から始まり、委員長的な態度から、世話焼きっぷり、そして年相応な無邪気な元気さと。
なんだか涼子の人間性てやつをまざまざと見せ付けられた感じだな。
振り回されて、疲れるのは確かだが、ま、悪い気分はしないのは確かだ。
そんなこんなで一日を終えて、二人で帰宅の戸についた。
自転車で2人乗りしながら、どうだった?と尋ねてみた。
「どうって?」
自律進化がどうたらって目的だよ。
俺一人じゃなくて、SOS団のみんなで長門を変えたんだぜ?
だから、SOS団に参加して何か感じたかってな。
涼子はくすくすと笑った。
前を向いてるから顔は見れんが、午後にハルヒと遊んでたときと同じ顔をしてるのだろう。
見れないのが、ちょっと惜しい。
あっちのトラウマ的な『うっすらとした笑み』はもう封印しておいてほしいがな。
「それはキョン兄の心がけ次第よ?」
そうかい。
「そうね、まだ分からないけど、何か、やってみたいって気になったわね。
以前はインターフェイスとして、クラスの委員長として、与えられた役割を果たすことしかなかったんだけど・・・、
ハルヒさんみたいに突っ走るのは、なんだか楽しい。
・・・もしかしたら長門さんを気にかけていたのは、羨ましかったからなのかもしれないわ。
表舞台に立つ、SOS団の一員としての長門さんが。
でも、なんだか気にならなくなったかも。
そうね!今度、久しぶりに長門さんのご飯でも作りにいこうかしら?
一緒に来てくれるわよね、兄さん?」
まったく、驚かされる。
涼子が正直に自分の考えを言ってくれたことに驚けばいいのか。
いつの間にかハルヒを下の名前で呼んでることに驚けばいいのか、
長門と交流しようとしているところに驚けばいいのか、
『兄さん』と呼んだことに驚けばいいのか。
4択問題だ。
回答は任せた。
だが、長門の家に押しかけてみるのは面白いかもな。
先に言われるとは思わんかったがな。
しかし、この調子なら、奇妙な共同生活も結構希望が見えてるのかも知れん。
・・・それこそ希望的観測か。
ま、楽しんでもえらえたようで何よりだよ。
補足だ。蛇足とも言うな。
帰ってきたら、妹(本物)がむくれてた。
「キョン君のばぁかーーーっ!
涼子ちゃんばっかり構ってーーーっ!!」
馬鹿て。
ああ、妹を宥めないといけないな。
終わっとけ。